プレキャスト逆 l 型擁 壁価 格
null
null いつのまにか、茜《あかね》の目から涙が溢《あふ》れかけていた。 「あいつは新しいカゲヌシを探すって言ってた。そのためにまた人も殺すと思う。もしあたしがこれ以上ボルガといたら、あいつと同じになっちゃう」  茜は生身《なまみ》のまま蔵前《くらまえ》を探すつもりなのだろう。彼女にも危険は分かりきっているはずだ。しかし、復讐などしてはいけないと裕生には言えなかった。蔵前は茜のものをあまりにも多く奪いすぎている。 「ボルガ、おいで」  茜が両手を広げると、植えこみから現れたボルガがよろよろと彼女に近づいていった。彼女はしっかりとその傷ついた体に抱きつく。 「お前が悪いわけじゃないんだけど、もう一緒にいられないの」  くぐもった声で彼女は言った。おそらく理解していないに違いない。ボルガは神妙に主人の言葉に耳を傾《かたむ》けていた。 「今まで一緒《いっしょ》にいてくれてありがとう……本当にごめんね」  茜《あかね》が声を振り絞《しぼ》って泣き始めた。戸惑ったように、ボルガが折れ曲がった翼《つばさ》でぱたぱたと彼女の背中を撫《な》でた。 「……本当に、いいんですか」  誰《だれ》にともなく葉《よう》が呟《つぶや》いた。茜はボルガに抱きついたままでこくんと頷《うなず》いた。 「早くして。お願い」  葉が深く息を吸いこんだ瞬間《しゅんかん》、裕生《ひろお》は彼女の手をしっかりと握った。「黒の彼方《かなた》」を解放すれば、葉の意識《いしき》はまた完全に眠ってしまう。離《はな》れないようにしなければならなかった。  彼女もその手を握り返してくる。一瞬、ちらりと二人の目が合い——葉が困ったように視線を逸《そ》らした。  そして、彼女は口の中でカゲヌシの名を呼んだ。 「『ねがい』によっては、カゲヌシ同士が対立することもありえます」